セメント接着システム

タービンの汚染

白い詰め物はすぐダメになる? ダイレクトボンディングと保険治療の違い

 

最近は、金属色の見えない、白い歯を希望される患者さんが増えていますが、折角白い詰め物をしても徐々に歯との継ぎ目が黒ずみ、虫歯が再発したことのある方も多いと思います。それは詰めた物と歯が接着していないからです。
 新聞・雑誌等で虫歯を出来る限り小さく削って、金属を使わず、コンポジットレジン(以下レジンと呼びます)というセラミック粒子を混ぜたプラスチックを使用し接着剤を使って詰めるM・I(ミニマルインターベーション)という接着治療法が推奨されていますが、今までの方法には盲点がありました。
 通常、歯を削るときにはタービンと言われる切削器具を使いますが、院内感染のページにありますようにタービンは毎回、滅菌行って使わないと前の患者さんから感染する可能性があり危険です。その際、通常のシステムではタービンのベアリングを潤滑するため、毎回注油することが必要です。注油した油はタービンから出てきます。結果として歯を削りながら油を吹きつけ、そこに接着剤をつけて詰めることになります。
 この油は付くと拭いてもなかなか取れず、接着材の効果が低下してしまいます(接着材メーカー談話)アルコールで拭いても油を薄めるだけで完全除去は出来ません。除去するには有機溶剤か合成洗剤のような界面活性剤が必要ですが、安全性の面からお口のなかで使うわけにはいきません。
 油をつけてから接着剤を塗るという業界は歯科以外に聞いたことがありませんが、歯科で接着の実験を行う場合、砥石で削った歯の表面に材料を着けて試験して、実際に行われている治療とはかけ離れた条件で接着強度の測定をしており、残念ながら多くの歯科医はそれを知らずに治療を行っているのが現状です。
 そこで、当院では10年以上前からLTL(ライフタイムルーブ)と言う方式の毎回の注油が必要ない、日本未発売のタービンを使用して削り、接着試験の条件に近い状態にして接着力を高めています。
 ただし、レジンは固まるときに1-3%縮む重合収縮という性質があるので何回にも分けて詰めないと上手く行きません。
 たとえば、3mの穴を詰めるのに3%縮むと9cm縮んでしまいます。そうするとどんな強力な接着剤を使用しても剥がれやすくなります。そこで、1mずつ3回詰めれば、すき間は3cmになり剥がれにくくなります。歯科の治療でも同じで、何回かに分けて詰めることで接着剤の強度を生かすことが出来ます。
 ただし物性の関係から、レジンは奥歯等で力のかかる場合にはお勧めできません。小さな虫歯や大きいむし歯でも力のかからない場所に向いています。
 奥歯の大きな虫歯を詰める場合、セレック等のセラミックや金属で作った物を接着した方が強度的に強く、長持ちします。ただし、お口の中で腐食しない為には金属の場合、金や白金などの貴金属が75%以上含まれているある必要があります。アクセサリーでも18金(18/24=75%)以上の物がつかわれるのはこの理由でそれ以下の純度だと黒くなってしまいます。

「ダイレクトボンディングという治療があり、保険治療より見た目や質が良く長持ちする」と書いてあるHPもあります。ダイレクトボンディングというのは自費用のレジンを使いますが、保険用と自費用のレジンは基本的に同じもので、物性もほとんど変わりません。では何が大きく違うかというと、色の種類です。

色鉛筆だと同じメーカーでも12色のものと36色のものがあります。36色の方が、色の再現性が高まるので色数を増やしているのですが、ダイレクトボンディングと言うのは、色の種類の多いレジンを使う治療です。綺麗で長持ちする為には材料的な違いより、「ラバーダムというゴム等を使って唾液が接着面について汚染しないようにする」「マイクロスコープを使って拡大して細かい治療をする」「何層にもわけて詰める」等、手間暇をかけて治療するかどうかの違いが大きく影響しますダイレクトボンディングより保険治療の方が綺麗と言うこともあり得ます。当院では、保険治療のレジン治療でも必ずマイクロスコープで見ながら、ラバーダムやZoo という唾液を吸い込む器具を使い、何回にも分けて詰めることを基本としています。
  当院の接着システムと内部洗浄システムの論文が歯科雑誌アポロニア2006.2月号に掲載されました。

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